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ジャカルタ通信


犠牲祭        (2003-10-03)

2月12日は、イスラムの大切な犠牲祭Idul Adhaと言う祭日です。
インドネシアの主要なイスラム教の2つの団体が、独自に日を計算して今年はこの犠牲祭が11日だ、いや12日だと問題になっていましたが、結局12日で統一されたようです。
昨年12月の断食明けの計算は、この2団体で一日違った結果を出していました。犠牲祭の日は、暦には最初から12日が祭日となってましたが、間際に定義?が変わる/定義される?のは、この国では全然珍しくありません。
それで社会的混乱が全く起こらないのが、さすがインドネシアです。なぜなら、暦とは関係なく11日と12日は、ブロックMのカラオケ店もお休みになりましたし、役所も何故か、人がほとんど出てきていないのです。
例年、この犠牲祭の少し前になると、お金持ちの家の庭先に、山羊が沢山つながれるようになります。
こちらの人は、犠牲祭のことをポトン(切る)・カンビン(山羊)と言っているのですが、どうも私には、山羊の首をポトンと切る様に聞こえて仕方がありません。
犠牲祭に犠牲になる山羊は、オスに限るのだそうで、これも宗教的由来に依るのだそうです。
この日は(と言っても3〜4日間あるのだそうですが)、お金持ちの人が、庭先やモスクで、山羊や時に牛を犠牲に捧げ、肉を貧しい人達に分け与えると言う、とても大切な行事なのだそうです。

私が勤務しているビルには、郵電総局と観光局が入って居るのですが、13日にこのビルでも、Potong kambingがあると言うので、カメラを持って行きました。
あいにくこの日は夜中からひどい雨で、これでは中止かなと思っていましたら、30分ほど遅れて地下の駐車場で行われると言うので、イスラム教でもない野次馬として見に行きました。


(地下駐車場の山羊 オス山羊のはずです。山羊は1頭約1万円程度だそうです)


(地下駐車場の牛 なんと5頭も居ました。牛は1頭10万円位しますから大変な額です。この牛はこぶ牛と言う種類なのだそうです。でもこれ雌のように思えるのですが、オスである必要があるのは山羊だけなのでしょうか?)

(幹部の参列 この役所の幹部?お金持ち?の人達の席が設けられお祈りがされています。この後解体中に、配られた弁当をみんなでパクパク食べていました・・・んー、宗教感覚は難しい?)

普通は牛が1頭に、山羊が何頭かと言うのが相場なのだそうですが、ここはさすが中央官庁の一つだけあって豪華です。
ポトンされる牛のたずなを、寄進した人から引き渡すセレモニーが行われ、数人がかりで足と頭と口を縛って横倒しにしていました。

(牛の解体(1) 牛はSapiですからこれはPotong Sapiと言うのでしょうか)

なんか見ていたら痛そうで?、もう少し切れる刃物を使えないのかしら?と思ってしまいました。でもこの牛は以外とおとなしくしていました。
翌日14日の、じゃかるた新聞、に次のような記事が載っていました。

「全国各地でイドゥル・アドハ(犠牲祭)が行われた12日、中部ジャワ州チラチャップで神への生け贄として捧げる牛を取り押さえようとしたロハディさん(43)に、長さ約40センチの角が刺さり、ロハディさんは間もなく出血多量で死亡した。この牛は、屠殺される寸前に暴れ出し、ロハディさんを刺した後も近所を駆け回っていたが、駆けつけた警官2人によって間もなく射殺された。」

(牛の解体(2) 首を半分切って解体に入りました。ここまでで1時間以上かかっていましたから、この日全部の牛と山羊を解体するには1日がかりだったはずです)

どうやら、このビルに勤めて居る人達に、肉が分配された様です。昼過ぎに、同じフロアーの帰り支度の女性と、エレベーターの中で会いましたら、「サテ(串焼き)にすると美味しいんだ!」と嬉しそうに言いながら帰って行きました。
どうやらこの日は、そう言う嬉しい日の様でした。
でも、異教徒の私は、世界的に行われるこの行事に、動物愛護団体から、これまで何かコメントがあったことがあったっけ?と、頭のなかの何処かで考えてしまいました。

邦字新聞の「じゃかるた新聞」に、次のような犠牲祭の説明が載っていましたので紹介しておきます。

「犠牲祭:イスラムの暦であるヒジュラ暦に合わせて4日間実施され、イスラム教徒は牛や羊を犠牲にし、その肉を庶民に配る習わしがある。
動物をいけにえとして神に捧げる習慣は、予言者イブラヒムが、最愛の息子を犠牲にし、神への忠誠を示そうとしたコーランの逸話に基づくもの。イブラヒムの信仰心をたたえる証として、イスラム暦で毎年、メッカ巡礼の最終日から4日間、犠牲祭が行われるようになった。」

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