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ジャカルタ通信


クパン

ジャワ島の先にバリ島があり、更に東隣にロンボク島があります。そこから一挙にチモールまで話が飛びます。
現在チモールは、ご存じの様に東チモールと、インドネシア領の西チモールになっています。
この西チモールの首都Kupangへ行ってきました。
クパンは観光地として有名なところ、と言う訳ではありませんが、アジアの南はずれがどんなところか見て下さい。

(クパンの空港から市内へ向かう道 分離帯の花はまるで私の生まれ故郷北海道で春先に咲くツツジの花のようです)

私にとって、クパンへ来たのはむろん初めてでした。
空港についてまず気が付いたことは、花の色が実に鮮やかなのです。
そして次に気が付いたことは、樹木はあるのですが、草が皆枯れています。
何だか荒涼とした感じがするのです。

(ホテルの裏手に海が見えます 夜になるとこの海に沢山の漁火が見えました)

ホテルの裏手は普通の景色なのですが、ホテルの玄関側は次の写真の様な景色でした。

(ホテルの前から見た景色 樹木は緑なのですが、草地はまるで焼野原の様な感じです)

この荒涼とした草地に、所々ピンクの花を付けた樹があります。
一緒に行ったインドネシア人が、あれはサクラだよ!と言います。ホント?ホントだよ!こんな暑いところに?と近づいてみました。

(クパンのさくら 薄いピンクの花を付けて遠くから見るとサクラそっくりです)

うんと接近して見ましたら、マメがなっています。でも、葉が無いので雰囲気は本当にサクラに似ていました。

(クパンのサクラのマメ? 丁度日本の藤の花の様な花房と細長いマメがなっていました)

荒涼とした景色を、なぜ?と聞いてみましたら、やはりここは雨が少ないのだそうです。
地下水も40mは掘らないと出ないとのことで、普通の家で井戸を掘るのは難しいので、地方政府機関が各家庭へ4000だったか5000リッターのタンク車で水を配給しているのだそうです。
雨季になっても、あまり降らないと言っていました。

(ツツジの花と見まがうブーゲンビリア 道路脇や家々の庭にも沢山咲いていますが、皆とても色が鮮やかです)

インドネシアでは、何処にでもブーゲンビリアの花(実は苞(ほう/つと)と言われ、いわば葉の一部です)が見られますが、ここクパンの花のように鮮やかではないのです。
なぜこんなに鮮やかなの?と訊いてみました。
実は、このブーゲンビリアは、水をやりすぎると色が悪くなるのだそうです。
従って雨の多いところではくすんだ色になってしまうのだそうです。
この話を聞いて、硫黄島へ慰問団で参加させて貰った時、慰霊碑のブーゲンビリアが、鮮やかな色をしていたことを思い出しました。かの地に果てた将兵達は、きっと水の不足で苦しい思いしたのだろうと言うことを、平和な今、こんなところへ来て、改めて認識しました。
私がこんな簡単なことを理解するのに62年もかかったと言うことです。

(ブーゲンビリアの花 赤く見えているのは苞です。花は実はこの写真の様に小さな小さな花なのです) 

(ブーゲンビリア白 ブーゲンビリアには赤、白、黄、橙、橙紫と色々な色があります)

(市内でも家々の庭木にブーゲンビリアが沢山植えられています。後ろはとても綺麗な教会です。動いている車から撮った会心のショット!)

インドネシアは、イスラム教の人達がマジョリティですが、ここチモールでは、独立した東チモールは99%がカソリック、インドネシア領の西チモールは80%がプロテスタントです。
仕事で行って地元の人達との夕食時、ここでは当然の様にビールが出てきます。
すぐ近くにフローレス(Flores)島がありますが、ここはカソリックがマジョリティと言われています。
一口にインドネシアと言ってもしかほど左様に違うのです。沢山の島々と、この多様性がインドネシアの最大の特徴だろうと思います。

( 泊まったホテルの受付のお嬢さんと 撮る瞬間に電話が掛かってきて残念!)

 

 

(砂糖ペレットを作っているところ 海岸近くでロンタール(Sea Apple)と言う(椰子の様な)樹の実から砂糖を作ってい
るところ。食べると癖の無い甘さでとても美味しかった)

(上の写真のご主人のそばに居た奥さんと子供 さりげなく撮らせてもらった1枚)

(戦時中日本軍が作った防空壕のあと 道路のすぐそばにありました。入り口だけですがしっかりした造りで今も残っていました)

(クパンの夕日 何処で見ても同じ太陽ですが、静かな海に日が落ちて行きます)

クパンは、ほぼ南緯10度のあたりです。
かって日本軍がここまで進出していたのを思い起こさせるのは防空壕跡くらいのものです。今は、あくまで南国の強い日差しと静かな海と、鮮やかなブーゲンビリアが咲き誇る、私にはとても印象的なところでした。

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