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遙かなるミッドウェイ



KH4閉鎖の真相

下記の通り、現在ミッドウェイは閉鎖されていますが、一部に島の重要性に鑑み、再開のための動きについての情報もあります。
よって、当ホームページでは、一縷の望みをかけてミッドウェイの情報を掲示し続ける事に致しました。


事実

2002年2月28日をもって、ミッドウェイフェニックス社はミッドウェイ島でのすべての業務から撤退する事を決め、実行された。
これにより、すべての観光的な渡航は云うまでもなく、沿岸警備隊への燃料補給の停止、及び緊急避難空港としての機能も停止された。
現在、島は無人であり、すべての施設は閉鎖されている。
結果、無期限での渡航が出来なくなっています。
(2002年5月現在)

概要

ミッドウェイ環礁は、ハムの世界ではKH4という独立したエンティティとして知られておりますが、20022月にこの島を巡る大きな動きがありました。
ハワイで発行されている、ホノルルアドバイザー紙(
128日付)によると、事の発端は、同環礁の運営主体であったミッドウェイフェニックス社(以下MP社:本社ジョージア州)が、すべての空港業務、旅行者のための宿泊業務、環礁におけるその他の機能を停止すると発表した事によります。
この発表の中には、同環礁の自然保護に関する機能も含まれており、米政府の魚類野生生物保護局(以下、保護局)も、突然の事に当惑の色を隠せないようです。
現地では、絶滅危惧種であるハワイアンモンクシール(アザラシ)、アホウドリ(世界で
15羽程度と云われている)、アオウミガメなどの保護に力を入れていて、爾来MP
社と保護局は一体となって、観光と保護活動を進めておりました。
その意味で、突然の両者の不協和音は、ミッドウェイ環礁を知る者に、大きな驚きを与えたと思います。

MP社の発表では、2月中には準備の整った順番に施設の閉鎖が行われ、同時に必要箇所を除いて電源の供給も止められ、その機能が停止すると云っています。誠にもって慌ただしい話です。
また、同環礁へ定期便を運行していたアロハ航空の当事者は、
32日に最後の職員をハワイに運ぶ便を運行するように、MP
社から依頼されている事を明らかにしております。

 この突然の閉鎖劇については、いろいろな理由が挙げられておりますが、本原稿執筆時点(22日)では、大きな2つの理由が報道されています。

ひとつは、
MP社の経営上の問題です。
同社の幹部は「島の経営で
1500万ドル(約19億円)を失った」と述べ、事実上の共同運営に当たった「魚類野生生物保護局の経営姿勢のなさ」を批判するコメントを出しております。
 ミッドウェイ環礁は、アメリカでも珍しい、自然保護区の中に一般の民間人を迎え入れる場所として有名でしたが、実際には、島に訪れる人には例外なく厳しい規則が課せられ、これが島の経営的基盤の構築に大きな障害だったと云われています。
かつて
2
度、同環礁に渡った私としては、それらの規則が決して守れない規則だとは思いませんでしたが、保護活動が優先されるが故に、リゾートにありがちな設備の拡充(例えばプールなど)が行われなかった点を考えると、やはり多くの観光客を呼び込む事は無理であったろうと想像します(私自身は、現状以上の設備の必要性を全く感じませんが)

二つ目は、従来ミッドウェイが持っていた、太平洋を行き交う航空機のための、緊急代替空港としての位置づけが変わって来た事によります。
航空機の安全運行を支えるミッドウェイの業務は、近い将来、そのほとんどをハワイが引き継いで行く事になっており、この点でも経営上の判断を迫られていた様です。

現在のところ、ハムに関する情報は一切ありませんが、
MP社が撤退する事で、一般の観光客が同環礁に渡る事は事実上不可能になります。従って、この数年の様な気軽なDXバケーションと云う訳にはいかなくなるでしょう。
MP
社の現地オフィスがあった空港のハンガー(格納庫)には、我々ハムのためのシャックがあって、屋上にオールバンドで運用が可能な複数のアンテナ群もありました。
メンテナンスも行き届き、設備、環境共に条件の良いシャックやアンテナ群は、沢山のサービスを可能にしてくれていたのです。
これらが今後どうなるのか、私自身は大変気にかけているところです。

しかし、保護局のスポークスマンは、島の保護の重要性を考え、局として島に何らかの業務を残す事を考えていると明言しております。
また、同局の幹部は、政府としては
MP社に代わる、新たなパートナーを捜す事が重要であるとの認識を示しています。
1996年に始まったMP社の経営は、かつて手の届かない島であったミッドウェイ環礁に、日本人の我々でも訪れる機会を作ってくれました。それから約5
年、時流とは云え、そのミッドウェイが再び手の届かない場所になりつつあります。

私としては、保護局の幹部の発言に一縷の望みを託し、今後もミッドウェイ環礁についての動向を、ずっとワッチし続けたいと思っております。最新の情報は、拙作のホームページに逐次アップして行くつもりです。
末筆ですが、本稿を寄せるにあたり、我が友人の
WB6Z / John. 古谷氏に負うところが大であった事を申し添え、御礼を申し上げる次第です。

(本稿は、CQ誌2002年2月号に、筆者が寄稿したものを修正しました)


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