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YJ0AVE YJ0AQY  Vanuatu DX vacation


バヌアツ エファテ島からの運用

JA8VE 齋藤邦夫

運用期間:2008年10月31日〜11月6日(UTC)

YJ0AVE 齋藤邦夫(JA8VE) 全QSO(SSB)数:約1200
YJ0AQY 松井重雄(JA1JQY) 全QSO(CW)数:約2500

バヌアツの首都 Port Vilaに友人が居るので行ってみたいなあ、と私が言ったのを大和クラブのJA1JQY松井さんが覚えていて、「齋藤さん、いつ行くんですか?」と言われたのがこの夏で、そこから急に準備が始まりました。
DXバケに出かける時の最も大切な事は、運用場所(ホテル)の選定です。前回のYap島では失敗しましたので、今回は自分達で調べる事にしました。


バヌアツの場所 バヌアツって何処にあるの?と言う方がほとんどです。オーストラリアの東側、ニューカレドニアの少し上(北)、ソロモン諸島の下(南)と言うことになります

日本からの行き方は、フィジー経由、オーストラリア経由、ニューカレドニア経由の方法があります。我々は成田からニューカレドニア(1泊)経由バヌアツのポートビラまで同じAircalin(エアー・カラン)で行けるのでこの方法で行きました。

ポートビラの港 大型客船が接岸可能で年間通じて沢山のクルーズ船が入港する美しい良港です。丘の上のレストランから見た絶景
 

市街地 賑やかな通りは、この通り1本で郵便局・銀行・市場・カフェ等何でもありますが、みな歩いて行ける距離です

島の便利で賑やかな場所と言うのはどこも同じ傾向ですが、ポートビラも人家が密集しておりホテルの敷地も狭く、とてもハムの希望する広さは期待できません。
インターネットで調べ、これは!と候補に上げた場所はBluewater Island Resortと言う市街地から20Km離れたリゾートホテルでした。
しかし、友人に問い合わせてもそこは知らない!行ったことが無い!と言う情報ばかりです。
直接、オーナーのリチャードさんにメールで色々尋ね決心しました。
リゾートの概要はサイトに詳しく載っておりロケーションは心配しませんでしたが、自家発電故、電気の供給が7-9、10-11、12-1pm、2-3pm、5-10pmのみ。
要求により3000VT/Hで供給出来ると言うものでした。コテージは12000VT/1泊でした。(1VT=約1円)

ポートビラ着は18:40でもう暗く、空港へ迎えに出てくれた友人の川口さんの滞在先へタクシーで向かい、借用をお願いしてあった100AHのバッテリーと、水5Lボトル2本を確認したものの、しかし3週間前に日本から送った同軸等が入った荷物が着いていませんでした。
ここでライセンスの取得代行をお願いしてあった旅行社から2人分のライセンスを受領しました。(代行料5000VT+ライセンス料500VT/人×2人=約6000円)
迎えに来たBluewater Island Resort(以下BIRと略表示)のミニバスへ全ての荷物を積み込んで真っ暗な道を約30分走り9:30pm頃到着しました。
この日は10:45pmに自家発電は停止し、真っ暗な中、ギボシANTを上げてバッテリーで松井さんが7MでCWの運用を開始しました。
 

スパイダーANTの組立 翌日は土曜日、朝食後早速スパイダーANTの組立を開始

昨晩指定されたコテージ(Rm:3)の前は狭かったので、この日Rm:13へ替えて貰い作業開始です。晴天で日差しが強い中約3Hかけて完成させました。敷地の広さに対応すべく大量の同軸を送ったのが未着ですから、最小限各自手持ちで運んだ20mの同軸で2局運用の準備を終えました。
 


Bluewater Island Resortの場所 地図の右下、ポートビラの市街地から南東20kmの海岸にあります。(BIRのホームページより)

舗装道路はこのエファテ島にしかないのだそうです。
日本の無償資金援助でも作られたと聞きましたが、とても平坦に仕上げられた立派な道路がポートビラ市街地からこのあたりまで続いていました。


コテージ前のスパイダーANT コテージ前が十分広く、すぐ前はラグーンで沢山の魚がいました。TV・電話なし、他のお客も少なくHAMには申し分の無い場所です

これで24H電気が使えたら、まさにHAMの楽園です。
日本の連休が土・日・月とありましたので月曜日まで運用を心がけ、火曜日になって(BIRの)シャトルバス(毎日7:00・10:30・12:30・15:30街へ定時運行されている)で街へ出ました。
この時日本から送った荷物が着いていることが判り、喜んで持ち帰りました。
この中には50m・30mの同軸が何本か入っており、LEDランプの乾電池式ランタン、AC-DC電源等も入っていました。
この同軸を使いコテージの裏側の約13m高の樹木を使った1.8M帯のフルサイズDPやV型DP(14・18・21)も張りました。


V型DP スパイダーANTから北に対して真横方向へ60m離して設置。その結果18M帯でCWとSSBで同時運用が出来ました

14M帯はもとより、狭い18M帯で2局同時運用というのは、これまでにない経験でした。ANT間の距離が如何に大切か勉強しました。

松井さんの夜間運用 夜間電気が止まるとこの運用形態となります。Batteryは電気が来ているときに日本から持参したチャージャーで充電し夜間に備えます。照明は日本製電池式ランタン(白色LED)、これはとても効率が良く明るかった

夕食時間になるとEUが開きます。
前日ロングパスだったのにANTはJAに向けたままなのでEUの強い局にどっちだと聞くと「ショートパスだ」と言われ、??です。でもANTを回してみる余裕もなくQSOに追われました。
SSBでは14・18が主で非常に強く入っていましたが、電気が切れる頃になると信号が落ちてきて、SSBから松井さんのCW主体の時間となります。で、齋藤は松井さんのCWを聞きながらぐっすり、と言う毎日でした。

夜、外へ出て空を見上げると人工光は無いので星の光が強く、オリオンが東の空に、すばる(プレアデス星団)が北の空に見えました。

YJ0AVEの昼の運用 停電時間が長くPCのBatteryが保たないので結局今回は紙ログになり、暇な時間に打ち込みました


友人の川口さん、オーナーのリチャードさんと 我々が到着した翌日の午後に現在ポートビラにお住まいの川口さんが友人ご夫妻と来てくれましたのでリチャードさんと一緒に記念撮影をしました

この時実は前日お願いしておいた果物を沢山買ってきてくれました。
持つべきものは友達です。川口さんはアマチュア無線はやりませんが、齋藤と同じ北海道出身で、フランスへ留学の経験もあり剣道5段の腕前です。
お仕事とは別に週3日朝5:30からバヌアツ人に剣道を教えていると言います。また、現地語であるビスラマ語を話すことが出来るすばらしい方です。

交換してくれた壁のコンセント

このコテージに泊まって困ったのは用意した。
ACコンセント形状が違っていたことでした。事前調査ではバヌアツはハの字型240Vのはずでしたが、ここはオーナーのリチャードさんがオーストラリア人であるせいか全て丸ピン型になっており、アダプターを1個しか用意しておらず困りました。
エレクトリシャンに言ったところ翌日には壁のコンセントを交換してくれて助かりました。
南の国では約束してもいつになるか判らない事が多いのですが、ここでは翌日位には実現出来たので感心しました。
Batteryも1個彼から借りました。

昼食 レストランで食べていたのですが、この日はハンバーガーを注文して外でコーヒー飲みながら食べました

昼食を持ってきてくれたレイチェル 彼女はMalakula島出身で英語も上手で良く気がつくsmart girlでした

ハンバーガー この日は松井さんがハンバーガーを1人前頼みましたがフルーツが付いて2人で食べて丁度良い分量でした

泊まり客がほとんど居らず、昼の電気の供給も12-1pmですから、レストランへ行かないと、レイチェルが聞きに来てくれます。
レストランの料金は決して安くありません。
上記のハンバーガーでも1人前1000円です。
現地の人達はお金が無くても生きて行ける「世界一幸せな国」と言われていますが、外国人観光客には2重価格になっている感じです。でもフルーツがブーゲンビリアの花(ホウ)で綺麗に飾られてふんだんに出てきます。

バヌアツのスイカ 川口さんが市場で買ってきてくれた大きなスイカ。これで約1500円ですから日本と同じか安い。とても甘く1/4を2人で平らげ4回楽しみました

スイカをほおばった松井さん 後ろが生活?を感じさせます

滞在していたLawsonご夫妻と 1番目のコテージに滞在していたダグラスさんと奥さんのウエンディさんを訪ねました。右側はここのマネジャー?をしているWarres氏

挨拶したときHAMを知っていますか?と言ったら身内でHAMがいるので分かるとのことでした。
このお二人はオーストラリアで退職後全く個人的にバヌアツ(やソロモン諸島等々)で医療指導や臨床検査のボランテイアをされているとのことでした。
ここには定期的に来ていると言っていました。年齢が近いせいか、昔の映画やスターの話で盛り上がって楽しいひとときでした。

JICAバヌアツ事務所の築山調整員と JICA事務所へ表敬に行き懐かしい方にお会いすることが出来ました

実は、齋藤が2001年初めてJICAシニア海外ボランティアとしてJakartaへ赴任したときJICA Jakarta事務所に調整員として居られた方でした。実に5年ぶりの再会で感激しました。

メラネシアン・フェスタ BIRで毎週火曜日の夜催されているとのこと、この日は泊まり客全員が招待されました

全員と言ってもオーストラリアから来た新婚カップル、Lawson夫妻、我々、リチャードさんの7人でした。
場所は広いBIRの敷地に保存されてある現地様式の建物の中で、昔ながらの石を焼き蒸した料理をはじめローカルフードのご馳走です。
カバ(酒)も用意されてありました。
料理は本当に美味しい味付けで素材も良いものばかりでした。
カバも色は乳白色で少し舌にぴりっとくる味で香りがあって高級な感じがしました。(昔、フィジーのタベウニ島で呑んだ泥色のものに比べてです。)

カバ(酒) カバは実はお酒ではありません。むしろ鎮静作用があると言われています。私達には美味しいものではありません

リチャードさんと色々お話して分かったことは、年齢は60才このBIRを始めて5年になるそうです。
広大な敷地内ではカヤックも貸してくれますし、シャークやカメを飼っているプールがあって観光客がエサを手で与えることも出来ます。
豪華船が港に着くとこういった体験ツアーに子供連れで観光客が来ていました。
ちなみにお値段はえさ付きで入園料大人1人2000円とのこと。むろんこれでポートビラからの送迎も含んでいるのでそう高いとは言えません。

銀行 ポートビラの郵便局のすぐ前にあったANZ Bankの内部。ここで両替しましたが近代的でとても綺麗な銀行でした。円高時でしたのでレートは\1=1.0722VTでした

市場 離島から沢山の物資をここへ運んで来るのだそうです

ショウガとバナナと この木の実も300円ですから、市場での果物は安いと言えます

撤収時の全荷物 Battery 1個は川口さんが用意してくれたもの、もう1個はBIRからの借用。段ボール箱は日本へ航空便で送り返すもの。ANT・ポール類は釣竿ケース3個にまとめてある

今回の運用は、JAとの間はあまり条件が良くありませんでしたがEUとはほぼ毎日openし、WへもCWではかなりサービスが出来ましたので、この時期としては満足出来るExpeditionでした。ただ、160mはがんばって立派なフルサイズDPを張った割には聞こえるが飛ばないと言う経験をし、残念でした。

バヌアツは、概略南緯13〜20度の約80の島々からなる島嶼国ですがその半数は火山で出来た島々で、中でもTanna島のYasur火山(361m)は、世界で最も火口近くで噴火を観察できる活火山として有名です。



バヌアツの島々

私の少々古い(1997年の)IOTAのYearbookには、バヌアツは4つのIOTAに区分されており、OC-104がBANKS IS、OC-035がNEW HEBRIDES、OC-111がSHEPHERD IS、OC-110がTORRES IS となっています。
この分類では有名なTanna島はEfate島と同じOC-035になってしまう様ですが、Yasur火山観光を兼ねたExpも良いかもしれません。
また、国内線が他の島にも飛んでいるようですので他のIOTAサービスも面白いのではと思いました。

空港で お世話になった川口さんが見送りに来てくれました。3人でケーキにタスカビールで乾杯です

トントータ空港のAircalin機 ニューカレドニアで1泊し翌日成田へ向かうところ。片道2日かかるのでやはり日本からは遠いところです

成田へ向かう機内で 今回のExpは満足でした・・・と言う顔をしています。航空会社としてのサービスはあまり良くありませんでしたが、ワインは赤も白も美味しいく、二人とも複数本?頂いてしまいました


参考

 ○Bluewater Island Resortのサイトは下記
http://www.bluewaterisland.com/vanuatu.htm

○オーナーのリチャードさんが、ビデオカメラを持って突然やってきて何か しゃべって!と言われた結果が、Youtubeにupされています。
http://jp.youtube.com/watch?v=d6nCBVBBWYw

(了)


 

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