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Bora Bora Tahiti島 観光とDXペディション



FO0MCA / JA3MCA 橘 薫

去る4月24日から5月1日まで、家族サービスも兼ね家内と共にフランス領ポリネシアのBora Bora島とTAHITI島にいってきました。

例年、この時期は大和クラブの気の合った4人で、DXペディションに行くのがここ4−5年の恒例行事のようになっていましたが、今年はJA8VE斎藤氏は既にインドネシアに赴任、JA1KJW中山氏は、リタイアに伴う事務処理で都合がつかず、結局残った2人、JA1JQY松井氏と私JA3MCA橘で相談の結果、別々の行動となった次第です。(松井氏は、その後モルディブ8Qから運用されました:リンク済

奥さん同伴の旅行の場合、最も問題になると思われるのが旦那が長時間無線に夢中になり、その結果奥さんをケアする時間がなく、置いてきぼりの奥さんと揉めるというケースですが、幸いな事に私の家内は、とにかく海外では(家庭でも?)1日中ボーと過ごす、または日長寝ているのが大好き人間なので、この点は好都合でありました。Hi

FOのライセンス申請に関しては、インドネシア出発直前の斎藤氏に随分ご迷惑をお掛けしてしまいました。
これは、申請書がすべてフランス語で書かれているため仕方が無かったのですが.....

申請は2月下旬に行いました。通常ライセンスは現地に到着後、PTTに出向いてそこで交付されると聞いていたのですが、そうするとどうしても1日損してしまうので、休暇日数の少ない日本のサラリーマンの実状を切々と手紙にしたためて、何とか事前に発行してくれるよう、ダメもとで同封しました。
そうすると、3月下旬に思いがけず希望通りのFO0MCAのコールで、ライセンスが届けられたではありませんか!!
やっぱり、何でもあきらめずにやってみるものです! なお、ライセンスの申請料は無料でした。



Bora Bora島の空港にて
周りは日本の新婚さんばかり!

成田から首都のパペーテまでエア タヒチ ヌイ航空のエアバスで約11時間かかります。
この航空会社を利用するのは初めてですが、搭乗のときにかわいいスッチーさんが、良い香りの小さな白い花を全員に手渡してくれました。機内全体がさわやかな香りに満たされ、旅行気分がグンと盛り上がります。
機内は、ほとんどが新婚さんで占められ、我々のようなロートル組は数組しかおらず、こればかりは終始当てられっぱなしでありました。
あー私も糟糠の妻ではなく、美貌の新妻と来たかった!?

パペーテで3時間の時間待ちの後、プロペラ機で更に北西に飛ぶこと45分のところに、目指すBora Bora島はありました。空港はBora Bora本島とは高速船で20分ぐらいのところにある細長い島に設置されており、ちょうど早朝の7時ぐらいの到着でした。
朝日に輝く珊瑚礁の島は中心の緑の山と白い砂浜、そして何とも形容しがたい真っ青な海のコントラストが本当に素晴らしく、家内と共に思わず「来て良かった!」と叫んでしまいました。

我々の宿泊場所は、FO5IWのコールを持つ、元当地アマ無線連盟会長でもあったポーランド出身 スタン氏所有のMAI MOANA島。
空港からモーターボートで5分くらいで到着する、周囲1周に3-4分しかかからない、ちっぽけではあるがステキな島(現地では、モツとよばれます)です。



いざ!FO5IW スタン氏の所有する島へ!
この人がスタン氏

事前に今年1月に利用した斎藤氏に、写真を種々見せて頂いていたので、大勢の出迎えの人の中から、赤ら顔の恰幅の良い彼を見つけ出すのは容易でした。
彼は、ここに5年ほど前から奥さん、2歳の愛娘、犬と猫の家族でいわゆるホテル業を営んでいるとのこと。
それまでは、パペーテでタヒチで初めてのコンピュータの学校を経営したこともあるなど、所謂今はやりのアントレプレナーの先駈けのような経歴を持っています。
島にはイギリスはジャージー島からバカンスで来ている先客夫婦が1組いるのみ。無線は、寝泊まりするバンガローとは別に、彼のシャックを特別に借り、アンテナは海中に設置された、高さ4mばかりのトライバンダーを利用させていただくと共に、7MHz用Zeppアンテナをタワーを利用して海上に設営しました。



このアンテナ(TA-33jr?)と7MHzのZepp
海がとってもきれい!

このタワーがなんか中途半端な形をしていたので理由をスタン氏に聞いたところ、次のような恐い経験を語ってくれました。(なお、このタワーはQSLカードに私と共に写っています)
今から5年ほど前、彼は島に移って来てから猛烈にQRVしだした。ちょうどその頃に、バンガローのPRを兼ねJA1ELY局に、この島でWPXコンテストに参加しないかと勧誘の手紙をだし、それに応えて数人の日本人ハムがここから波を出した記事が、ファイブナイン誌に出たのを記憶している方もおられるでしょう。
その後に超強力な台風がタヒチを襲い、海面が数メートルも上昇した結果、彼のMAI MOANA島も全て海面下に水没し、彼は一番大きな食堂の屋根の上に緊急避難して、辛うじて無事であった。
しかしながら台風の去った後はほとんど全ての器材を失い、その後は無線の方は全くやっていないとか。
タワーはそれ以前は今の下部に10メートルくらいの基部があったが、台風で壊れてしまい、上部のみを利用して再度建てたということでした。

使用リグは、使い慣れたFT850のベアフットでしたが、3日間で1500QSOぐらい出来ました。
この数字は、夜間22時以降電源がシャットダウンされ、懐中電灯とバッテリー運用、そしてうるさい蚊との戦いを余儀無くされるという状況下では、結構良い数字かなと思っています。
14、21MHzでは、延々2時間以上ものパイルアップがW,EUから起こり、この瞬間こそ、まさにペディションの至福の時でした。



スタン氏のシャックに持参のFT-850を設置

パイルの終わりごろはさすがにパドル操作が怪しくなるほど、疲れてしまいます。
QRTを送り、外に出ると真っ暗で、空にはまさに満天の星が輝いており、時の立つのも忘れ見入ってしまいました。
物音は砂を踏む足音と時折跳ねる魚の音のみです。

MAI MOANAでの困ったことを、2つばかり記しておきます。
一つ目は、消灯後に利用したマグライトの件です。
マグライトは、軽くて明るく頑丈なので皆さんも良く使用されていることと思います。
私も登山等に愛用しており、絶対の信頼を寄せていました。今回も自分のと家内用に2本のマグライトを準備し、当然予備の電池も十分に用意しました。と、ここまでは順調だったのですが、自家発停止後バッテリーでFT850を運用しだして2時間ばかりたち、Euのパイルを快調にさばいている時でした。
突然ランプが切れたのです!真っ暗な中を、家内のいるバンガローに戻り、なんとかもう一つのマグライトを探し出し、シャックに戻って再開した時は、とっくにEuのオープンは終わってしまっていました。
実は、翌日も此れと良く似たランプ切れが発生したところで、鈍感な私もやっと原因を悟ることが出来ました。
要するに、マグライトのランプの寿命は連続点火で5-6時間ぐらいで、極端に短いということです。
日本に戻った直後に、相当数の予備ランプを入手したのは言うまでもありません。みなさんも、予備の電池の他に予備球を忘れないようにしましょう。(帰朝後気付いたのですが、このような時のためにマグライトには予備球が1個内蔵されておりましたHi)
二つ目は食事時間です。
夕食は19時からたっぷり2時間ばかりかけて、ワインなど飲みながら楽しみます。これは勿論大変楽しいのですが、この時間は大抵Euがオープンする時間帯でもあるので、毎日ある程度パイルが盛り上がったところで、食事のための強制QRXを発動せねばならないこと、これが大変辛かった!
食事後、頑張って良い線まで行くと今度は電源OFFに続いて、マグランプ断が発生するというわけで、これには正直参りました。
Euの皆さんごめんなさい!です。

良い点も書いておかねば!
食事は美人の奥様が作っていますが、これがなかなかのものでした。
また食事の時間中、スタン氏はウェイターに早変わりです。
布袋さんのようなお腹を丸出しで、タヒチの衣装に身を固め(とはいえ、要するに腰巻き1枚ということです!)
ウィットにとんだ会話で我々ゲストを毎夜楽しませてくれました。1番記憶に残っている会話を一つ紹介しましょう。



ステーキとワインとローソクの食事
この後、いつも酔っぱらってEuやW相手のQSOでした。
夕食は大変美味しかったです。

3日目の夕食は、子羊肉(ラム)のローストでしたが、大変美味しかったので家内とあっと言う間に平らげたところ、スタン氏がお替わりを持ってきてくれました。
“マダム、これは奥方達がもっともお好きなところ(部位)の肉でございます。どうぞ召し上がれ”  これ、家内は会話の中身が良く分からなかったようですが、多分羊のポコチンではなかったかな?!勿論ぺろっと食べてしまいました!!!
スタン氏は酒が大好きで、お土産で持参した日本酒を喜んで飲んでいました。



Bora Bora本島の山をバックに撮影
橘さん、QSLカードの写真はこれにすればよかったのに...(三宅)

27日早朝からリグのかたずけを開始、12時の飛行機で再びパペーテに戻り、今度は空港からタクシーで約10分のソフィテル マエバ ビーチ ホテルに宿泊しました。



お別れの朝、スタン氏はホラ貝を吹いて見送ってくれました。
あ〜また来たい!

このホテルはタヒチでも1番老舗のリゾートホテルで、蚊や停電に悩まされることも無く快適の一言!最上階のパノラマビューとよばれる1番端っこのスイートルームを利用したのは、もっぱらアンテナ設営に最適の広いバルコニーが付属していたためで、家内との新婚旅行の再現を目指したためでは決してありません。(内緒ですがHiHi)
ここでは、JA0KNM有賀さんに貸していただいた、21/28MHz用アローラインアンテナが大活躍してくれました。
モービルアンテナに毛の生えたようなちっぽけなものでしたから、正直あまり期待していませんでしたが、見事に予想を裏切り、ここでも大パイルを引き起こしてくれました。
一方2日目に無理して張った7MHZ Zeppは建物に近づき過ぎたのか、SWRが全く下がらず、数10局のQSOに終わり、ここからの総QSOは、約1200となりました。
このホテルの近くには大きなスーパーマーケットがあり、食事、ビールなどの飲み物には全く不自由しませんでした。
マグロのすしやサラダなども売られてますので、日本食が無いと生きられないような方にもこのホテルはお勧めかと思います。

タヒチは、観光だけが収入源の国ですので、物価が東京並み以上に高いですが、それを補って余りある素晴らしい自然が残されたところでした。
過去何回か、南太平洋にでかけましたが、これほど美しい見事な海はかつて見たことがありません。
ひょっとしたら、より行くことが困難なオーストラル諸島、マルケサス諸島などは更に素晴らしいのでは!などと次の計画に夢を馳せつつ、このレポートを終わりたいと思います。
交信いただいた皆さん、どうも有り難うございました。



Mai Moana島からの夕景
何も云うことナシ!

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